JAPAN CUP 2018
コースの壁に設置された幅約13mmのかまぼこ状の突起物が猛威を奮っている。
マシンに左右から衝撃を与え、大きく減速させるロッキングストレート。
衝撃を受け流すピボットダンパーは、今年のトレンドであろう。
一般的なピボットバンパーは、スライドダンパーと異なり、回転運動でコース壁からの衝撃を後ろへ受け流す。
そのため、受け流す際にローラーの位置がタイヤのほうへ移動することになる。
径が大きい19mmのローラーでは、タイヤとの干渉を避けるため、どうしてもフロントバンパーをより前方に配置する必要性があるのだろう。
使用されるローラーの主流は13mmなどの小さい径のローラーのようだ。
マシンが傾いた際に上段のローラーが効いてくれる二段アルミローラーが、特によく使用されているように思う。
鼓(つづみ)のような形状が美しい二段アルミローラーについて、考察したことを記載させていただこう。
①二段アルミローラーの上段が効くタイミングについて
二段アルミローラーには、径が13-12mmと9-8mmの2パターンあるが、どちらも上段と下段の径の差が1mmである点が共通している。
この差によって、通常は径の大きい下段がコースと接し、マシンがロールした際に上段が接することで、スタビライザーとして作用する。
さて、マシンがどれくらい傾いたときに、上段が接するのであろうか?
主流であるたからばこセッティングでは、基本的にはリアローラーによってマシンが傾くことが抑制される。
しかし、カーブへの突入時、デジタルカーブの次の壁の衝突時、ロッキングストレートの突起物の接触時には、リアローラーの作用は遅れ、フロントローラーのみが作用することになる。
その際に、マシンの重心よりもフロントローラーの高さが僅かでも低い場合は、マシンがインリフトすると考えられ、二段アルミローラーの上段が活躍することになる。
どれくらい傾いた段階で、上段ローラーが効くのか、計算してみよう。
上段と下段の径の差が1mm、上段と下段の距離は11mm(手持ちを計測)、これらの関係を直角三角形に当てはめて、角度を求める。
直角三角形の矢印で示す角度が、上段と下段の2点が接するときのマシンの傾きの角度となる。
底辺と高さが分かれば、角度は三角関数を用いて求められる。
答えは約85度であった。
つまり、マシンの傾きが90度ー85度=約5度で、上段ローラーが壁と接することになる。
あまりピンと来ない。
5度とはどれぐらいコーナーの内側のタイヤが浮いた状態であるのか?
角度を5度、マシンの幅を105mmとすると、角度と斜辺から高さを求めることができる。
高さ=底辺×tanθ
矢印の高さは、約9.2mmであった。
実際に、マシン(MAシャーシ)に二段アルミローラーを装着して確認したところ、
上段と下段の2点を壁に接触した状態では、タイヤと地面との距離が4.5mmほどであった。角度は計測が難しく断念。(くまもんの目力がこわい)
マシン幅105mmから計算していたが、タイヤのトレッド幅で計算するのが正しかったようだ。トレッド幅は68mmと計測したので再計算したところ、6mmと出た。
まだ誤差が大きいと思うが・・・下段の径が少し磨耗しているためかもしれない。下段が磨耗するほど、上段が効く角度が小さくなると考えられる。(言い訳。)
実際に試すことの大切さを実感した。
ただ、誤りから一つ学んだ。それは、トレッド幅が広いほど、二段アルミローラーが2点で壁と接触した際の、タイヤの浮かぶ高さが高くなるということだ。
トレッド幅が広いほど踏ん張りが効くが、傾いてしまった場合のタイヤの浮き上がりは、トレッド幅が広いほど高いということ。
つまり、トレッド幅が広いほうが浮いたタイヤが地面に戻るまでにかかる時間が僅かに長くなるのでは?(誤差の範囲かもしれないが・・・、また、そもそもトレッド幅が広ければ浮かびにくいが・・・ちょっと面白い。)
少し話が逸れたが、二段アルミローラーでは計算では約5度マシンが傾いた際に、上段ローラーが効いてくれる結論となった。
逆釣りで使用する場合は、約5度アウトリフトした際に下段が効くことになる。
これを、頼もしいと見るか、頼りないと見るか、今後のセッティングに活かそうと思う。
考察②の記事に続く
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