二段アルミローラーの考察①では、マシンがどのくらい傾いた際に上段のローラーが効くのか考察した。
今回は二段アルミローラーの形状について考察しようと思う。
この特殊な形状はどのような目的を持って生まれたのだろうか?
TAMIYAはこのローラーの特性を以下のように説明している。
「通常時は下にあるローラーがフェンスと接し、コーナーでマシンが傾いたときに上部のローラーがフェンスに触れる。これによりスタビライザー効果が発揮され高い転倒防止性能を実現する。」
上と下のローラーの径が異なるのは、通常時に下のローラーのみが接するようにすることが目的と思われる。
フェンスと接するローラーが1つであるほうが、摩擦による速度低下が抑えられるのであろうか?
摩擦力については、アモントン=クーロンの法則より、摩擦力は接触面積によらないらしく、接する点が1点でも2点でも摩擦力は変わらないようだ。
摩擦力はかかる荷重(フェンスに対するマシンの力)によって決まり、フェンスに接する点が1点であろうと2点であろうと変わらないのであれば、上下の径は同じであっても良いと思う。
しかし、主にフロントローラーとして使うことを考えると、スラストを考慮する必要がある。
スラストをつけると上のローラーのほうがマシンの前方向にせり出すことになり、上下の径を同じとしても、カーブに最初に接するのは上のローラーとなる。
つまり、同じ径にしてしまうと、カーブに進入した際には上のローラーが常に接してしまうこととなり、マシンが傾いた際に働いてくれるローラーはいないことになる。
そこで、上の径を小さくすることにより、下のローラーのみ接することになり、傾いた際に上のローラーが効く仕組みが実現される。
上下の径が異なるのはこれが理由かもしれない。
次にくびれについて考察する。
ドラム缶のようにくびれの無い円筒形でも良さそうであるが、FM-Aシャーシのリアローラーのように、円筒形であるほうが見た目としては1つのローラー感が出るように思う。
二段ローラーには軽いプラスチック製もあるが、アルミとなると円筒形では重さが問題となる。くびれることで軽量化を計っているのであろう。
そもそも、二段とする必要があるのは、レギュレーションでローラー個数が6個までという制限があったためというところが大きな理由であろう。
ローラー個数制限が無い場合は、径の異なるローラーを上と下でセッティングすれば良いのであるから。
このくびれはレギュレーションの制限の中で求められたニーズに対する答えとも言えるだろう。
さて、私はこの形状に1つ疑問に思っていることがある。
それは、このローラーが上段と下段で繋がっていることによる影響である。
上段と下段の径は異なる。ここで1つ、紙コップを思い浮かべてほしい。
コップの淵が下段ローラーで、コップの底が上段ローラーにあたる。コップのふちと底は繋がっている。紙コップを逆さまに伏せてみると、二段アルミローラーと同じような形である。
このコップを倒して転がすとどうなるだろうか?
円を描くように転がることになる。
二段アルミローラーはくびれによって繋がっているため、上下で円周が異なることにより、転がすと上下で進む距離が異なってしまう。
手持ちの二段アルミローラーを転がして、軌道上に印をつけてみよう。
転がすと軌道は円を描く。
もしも、上段と下段の両方がフェンスに食いついたままカーブを進んだ場合、二段アルミローラーは円を描くように上方へ進むことになりそうだ。つまり、コースアウトへと向かうのではないか?
実際には、上下の両方が同時に効くこと自体、時間的にはごく僅かであるのかもしれないが、考えてみると興味深い。
2人はどこかで繋がっている
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