果たして、アルミホイールを履かせたマシンは速いのか遅いのか？
ネット上で調べてみても、速い・遅いの両方の意見があり、非常に興味深い。
アルミホイールを使用されたマシンで大会上位に入賞される方がいるのもまた事実である。
今回は、アルミホイールのメリット・デメリットについて考えたことを記録する後編となる。前編は以下から。
重さによる慣性モーメントから考える
アルミホイールを考える上で１番興味深いアプローチである。
同じ径の同じ幅のホイールであれば、重いほうが慣性モーメントが大きくなる。
慣性モーメントが大きいほど、止まった状態から回転させにくく、回った状態から停止させにくい。
このことから、アルミホイールはスタート直後の加速力が下がる懸念がある。ただし、公式５レーンの大会のように、下り斜面のスタートであれば、大きな影響は無いのではと思う。
ブレーキ無しの場合、Mrぼっくす氏がYouTubeに挙げられている動画から、アルミホイールのほうが速いという効果が検証された。
これはおそらく、慣性モーメントの大きいアルミホイールを装着することで、カーブで受けるタイヤの摩擦による減速が減少したことによるのだと思う。
では、ドラゴンバックやバンク等でのブレーキによる減速後の立ち上がり速度はどうであるか。
アルミホイールの検証動画では、安定性の違いが目立ち、立ち上がり速度は比較検証が難しそうである。
（また、安定性の違いは、ホイールが重くなることによって生まれるものであるのか、マシンの総重量が重くなることで生まれるものであるのか、気になるところである。）
まったくの憶測になるが、立ち上がり速度はアルミホイールのほうが速いと考えている。
特にグリップの低いタイヤの場合に効果があると考える。
ブレーキがかかった際に、グリップの低いタイヤのほうが、タイヤの回転速度が減少しにくく空転気味になると考えられる。
その場合、アルミホイールのほうが慣性モーメントが大きく、回った状態から停止させにくいので、回転数の減少が少ないはずである。
グリップが低いタイヤの場合は、アルミホイールのほうがプラホイールよりもドリフトのようにタイヤの回転状態が保持されやすいと思うのだ。
そのため、立ち上がり速度はアルミホイールのほうが速いと思うのだ。
この考え方は少数派であると思う。
多くの方は、アルミホイールの重さによって、減速後のマシンの加速が鈍くなると考えておられるが、それはマシンの総重量が重くなる影響が大きいのかもしれない。
マシンの総重量を他のパーツの軽量化でカバーできれば、この記事で記載するメリットが得られ、総合的にはアルミホイールのほうが優れている可能性があるかもしれない。
アルミホイールは、フライホイール（弾み車）としての効果が大きいので、ホイールが速度を維持する力を保持してくれるため、燃費の向上も期待できそうである。
ジャイロ効果から考える
ジャイロ効果とは、物体が自転運動をすると姿勢を乱されにくくなる現象のことである。
アルミホイールのほうが重く、ジャイロ効果が大きい。
ジャンプする瞬間に、マシンの左右のタイヤの離陸タイミングが同時で無い場合や、マシン重量が左右不均一であったり、なんらかの力でマシンに捻りの力が働いたときに、マシンは傾きながら飛んでいくことになる。
この際に、ジャイロ効果が大きいアルミホイールのほうが、マシンの傾きが少なくなることが考えられ、着地の安定性を得られると考えられる。
総括
私が考えるアルミホイールのメリット・デメリットをまとめると以下である。
【メリット】
・硬いため跳ねにくい。
・加工せずにホイールの真円度を小さく（真円との誤差が小さく）できる。
・重心が高いマシンには低重心化の効果がある。
・慣性モーメントにより力が保持され速くなる。
・燃費が良くなる。
・ジャンプ中の傾きが小さくなる。
【デメリット】
・硬いため加工しにくい。
・元々低重心のマシンには低重心化の効果が小さい。
・マシンの総重量が重くなり、加速力がわるくなる。
マシンの総重量が重くなるというところが一番のデメリットと思う。他の部分でカバーできれば、アルミホイールのポテンシャルが活きてくるのでは？
パーツ自体の値段は高いが、プラやカーボンホイールを貫通作業で納得いくものを作る試行錯誤でいくつも消費することを考えれば、そう高くはないのかもしれない。
シャフトの抜き差しが緩くなっても、ブッシュを交換すれば解決できる。
ミニ四駆の流行りの改造の遷り変りは実に楽しい。これからアルミホイール全盛の時代が来たら面白いと思う。
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